老年期のうつ病について
- Togi Mizu
- 1月6日
- 読了時間: 4分
こんにちは!
杉並区にあるみずほクリニックです。
今日は老年期のうつ病についてお話しします。
うつ病は何歳でも、誰にでも起こり得ますが、老年期は特にうつ病になりやすい傾向があります。若い方のうつ病とは異なり典型的でない症状のことが多く、認知症だと思われて治療が遅れることもあります。老年期のうつ病は背景が複雑で重症化しやすいので、専門医による適切な対応をすることが大切です。
老年期うつ病の症状の例
不眠、不安焦燥、「もの忘れ」を過度に訴える、習慣にしていたことをしなくなる、原因不明の体調不良が続く、自分が悪いことをしてしまったと思い込む(罪業妄想)、生きていても仕方がないと考える(希死念慮)、不安焦燥が強い、深刻な病気だと思い込む(心気妄想)、お金がないと思い込む(貧困妄想)等がみられます。
老年期のうつ病の原因
大事な人との別れ、引っ越し、争い、病気(脳血管疾患、内科系疾患)、経済危機などのライフイベントのほか、元々のうつ病のなりやすさ(遺伝やうつ病の既往)が関係します。
老年期うつ病の診断
老年期は、他の年代と比べて病気になりやすい傾向があるため、認知症など他の病気との鑑別が必要です。問診、採血、頭部画像検査等で総合的に診断します。ただ、一回の診察で症状のすべてをとらえることは難しく、お薬に対する反応をみながら見立てをすることになります。
問診では認知機能の検査も行いますが、これも認知症の方とうつ病の方とでは答え方が違う傾向があります。例えば、認知症の方であれば適当に答えるところを、うつ病の方はすぐに「分かりません!」「できません!」と仰います。途中で「こんなにひどい認知症になってしまった」と泣き出し最後まで検査のできないこともあります。こんな感じなので、うつ病の方に認知機能検査を行うと点数がとれず認知症といわれてしまうのですね。でも、うつ病が改善すればしっかりと点数がとれるようになります(認知症が合併している方もいますが)。
また、現在内服しているお薬が関係していることもあるので、その確認も必ず行います。
私が心がけていることとして、うつ病をみたら必ずレビー小体型認知症が潜んでいないか疑うことです。疑うことでアプローチ法や予後が変わってくるので、常に気を付けながら経過をみています。
老年期うつ病の治療
老年期のうつ病治療では、他の世代と同じく「生活環境の調整」「薬物療法」「精神療法」の3つを基本とします。なお、身体的疾患を伴ったうつ病であれば、うつ病治療とともに原因となっている病気の治療を並行して行うことが重要です。
ご家族の対応としては、過剰な励ましをしない、声をかけるなら「頑張れ!」でなくて「頑張っているね!」にする、過剰に心配すると本人が負担に感じてしまうので今まで通り自然に接する、外出など無理強いしない、等です。
薬物療法
最近では高齢者にも使いやすい、副作用の少ない薬が増えてきました。それでも最初からたくさんの量を処方したり2剤以上を処方することはありません。他のお薬との飲み合わせに注意しながら少量から処方していきます。また、背景にレビー小体型認知症がある場合は薬に過敏に反応してしまう(副作用がでやすい)ことがあるため、さらに少量から開始します。抗うつ薬は即効性がないため、最初の1,2週間は体をならす時期ととらえていただき、「何も変わらない」のはむしろよい兆候ととらえていただければと思います。副作用が出てしまうと本人か家族が薬に拒否的になってしまい治療が進みません。そうならないように導入時にはしっかり説明して家族で治療にのれるようにもっていきます。
抗うつ薬内服中の方へ
元気になりすぎないか(口数が多い、些細なことでいらいらする、無駄遣いをする等)がありましたら薬の調整が必要なのでご連絡ください。
当院は専門医として多くのうつ病の方の外来・入院症例を経験しております。
医療拒否!医者嫌い!の方への対応も慣れており、近隣の方には訪問診療を行っています。
受診を迷っている方、まずはご相談くださいね。
(東儀)

